相続を事前に準備する重要性
昨今は「終活」などといって自分の相続に関して準備や対策をする方が増えており、4人に1人が高齢者という高齢社会である日本では、もはや「終活」は一つのブームとなっていると言えます。
ただ、相続の準備や対策をすることは大事だと思っていても、具体的に何をすればよいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
今回は、相続の準備として必要なことや、どのような点に気を付けて対策していけばよいのかについて説明していきます。
自分が亡くなった場合に備えてあらかじめ相続の準備をしておくことは、残された相続人のためにも大事なことですので、しっかりと対策していってほしいと思います。
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相続税についての準備
遺産の額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合には、
相続税の申告や納付をしなければならない可能性があります。
この申告と納付は、相続が発生してから(正確には、相続の開始を知った日から)10か月以内に行わなければなりません。
特に注意しなければならないのは、相続税の納付は原則として現金で行わなければなりません。
相続税の額は、プラスの財産とマイナスの財産(借金・ローンなど)がいくらあるのか、相続人の関係からいくらの基礎控除額があるのか、どのような控除があるのか、控除額を超える額がいくらであるのかなどによって決まります。
生前でも、ある程度、相続税の総額がいくらになるのかは予想することができます。
相続する側にとしては、相続するものの中から相続税を支払うことができれば安心なので、このような観点から、事前に準備をしておく必要があります。
また、財産に不動産(土地・建物)がある場合は、小規模宅地等の特例が利用できるかどうかを検討することが重要です。
この特例が利用できる場合には不動産の評価額を大幅に下げることができますので、この制度を利用できるかを検討することは必須と言えます。
場合によっては、相続財産を預貯金から不動産に転化することや、不動産を別の不動産に交換することも重要です。(税金面で)
また、配偶者には評価額1億6000万円までは税金がかからないなどの控除がありますので、これらの控除の制度も理解し、上手に利用して相続税の対策をしましょう!
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生前贈与の仕方
被相続人の遺産が多ければ多いほど相続税の負担も大きくなりますので、亡くなる前に相続財産を減らすことが相続税対策の基本的な考え方だといえます。
そのため、生前に贈与をしておくことで、相続財産を減らしておくという手法が採られています。
相続税対策のとして生前贈与をする方法は以下のとおりです。
生前贈与の一つ目の方法は、「暦年贈与」です。
贈与を受ける者は一年間で110万円までは非課税となります。
ただし、相続税の観点では、相続開始前の3年以内になされた贈与は、相続財産に持ち戻して考えることになっています。
したがって、暦年贈与を行う場合は早めの実施を検討した方がよいでしょう。
生前贈与のもうひとつの方法は「相続時精算課税制度」を利用するものです。
相続時精算課税制度を利用すると、相続が発生するまで贈与税の支払いを猶予してもらうことができます。
すなわち、相続時精算課税制度を利用した場合は、相続発生のときに贈与されていた財産を相続財産に持ち戻したうえで、相続税の計算をすることになります。
また、この制度では2500万円まで贈与税が発生しません。
持ち戻す際の金額は、贈与時の金額とされているため、仮に贈与後に価値が上がったのであれば、その分の節税効果を見込むこともできます。
もっとも逆に価値が下がった時にはデメリットともなります。また、その他にも利用にあたって注意すべき点があります。
相続時精算課税制度を利用する場合には、贈与があった翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に贈与税の申告と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出する必要があります。
そして、この届出をした場合には、それ以後には暦年贈与の方法は使えなくなります。
そのため、どちらの方法を使うことにメリットがあるのかを慎重に検討しなければなりません。
3
生命保険の利用方法
相続や相続税の対策方法として、生命保険を利用する方法があります。
生命保険を利用した場合には、受取人を相続人としておくことで、遺産分割協議や遺言の執行を待たずに保険金を受け取ることができます。
相続後には、葬儀代などで多額の出費も予想されますから、このような資金があると非常に便利でしょう。
相続税の対策の点でいうと、生命保険金もみなし相続財産として相続税対象になってしまうのですが、相続人一人あたり500万円の非課税枠があります。
これを利用してすることができます。
そのため、500万円の保険料を一括で支払う終身保険に加入すれば、保険金額がほぼ同額であっても、その分の相続財産額の減少につながるため、相続税を減らすことができます。
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