債権回収の注意点と方法について
債権回収はスピードと手続きが重要です!
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倒産、未払いは突然に・・・。

「取引先が品物の代金を支払ってくれないので困っている・・・。」
「家賃・賃料の未払いを支払って欲しい・・・。」
「お金を貸したが早く返金をしてもらいたい・・・。」

このようなお悩みを抱えられている方はいらっしゃいませんでしょうか?

新型コロナウイルスの蔓延によって倒産件数の増加・経営状態の悪化した企業や個人事業主が増加しました。それに伴って増加しているのが未収金問題です。

 

資本が磐石でない多くの中小企業にとって、未収金が発生することで死活問題につながることもあります。

また、数少ない資本を用いた再投資の貴重な機会を失うことにもつながりかねません。

今回は企業や個人間で未収金問題が発生した場合の対処方法について説明していきます。

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慌てず、まずは冷静に!
債権回収に動く前にまずあなたが確認すべきコトとは
Point
1

債務者の現住所を確認する

債務者に金銭を貸した後、債務者が住所を変えたり、行方不明になってしまうことがあります。

この場合、債務者の現在の住所を確認しないまま、文書を発送しても本人に届かないことがあります。したがって、まず、債務者の現在の住所を把握することが必要となります。

債務者の現在の住所が分からない場合にも、以前の住所が分かれば、住民票の調査などを通じて現在の住所を把握することができます。

また、住所が分からなくても電話番号が分かれば、弁護士会の照会手続(弁護士法第23条の2)などを通じて、現在の住所を把握することができます。

さらに、職場が分かれば、場合によっては現在の住所を調べることも可能です。

Point
2

債務者の財産を把握する

次に、債務者の所在が分かったとしても、債務者に全く収入や財産がなく、返済の意思もないような場合には、現実的には、債権回収が困難な場合があります。

したがって、債権回収を図るにあたっては、まず、債務者が現在どこかに勤めているか、自営の場合には業務を行っているかを把握する必要があります。

また、どこに預貯金口座を持っているか、不動産があるか、自営の場合には、どういう取引先があるか(売掛金があるか)についてもできるだけ調べる必要があります。

さらに、裁判を起こし勝った場合でも、相手方が素直に払わなければ強制執行をする必要があります。苦難の末、勝訴判決を勝ち取っても、相手が無資力では、債権はおろか弁護士費用すら回収できない場合もあることには注意が必要です。

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Case
1

債務者が実際に破産手続きを取った場合

債務者が実際に破産手続きを取った場合

債務者が実際に破産手続きを取った場合、代理人弁護士や裁判所から各債権者に通知が来ますので、債権届を提出して下さい(通知がない場合には債務者やその代理人に連絡して状況を確認し、債権者から漏れないように注意してください。)

配当可能な財産がある場合には、原則として按分で返済が受けられます。

仮に、債権者が破産手続き前に訴訟を起こしているような場合には、訴訟は中断されます。

Case
2

債務者が民事再生の手続きを取った場合

債務者が民事再生の手続きを取った場合にも各債権者に通知が来ますので、債権届を提出して下さい。

債務者が、通常再生の手続きを取っている場合には、訴訟は中断されます。

ただ、債権者が個人再生の手続き前に訴訟を起こしているような場合には、破産の場合と異なり、訴訟は中断されません。

Case
3

債務者が任意整理の手続きを取った場合

債務者が任意整理の手続きを取った場合、通常、弁護士が債務者の代理人としてつきますので、その弁護士と交渉することになります。

任意整理の場合、債権者としては、法律上減額する義務などは無いので、債権全額を請求することはできますが、債務者が途中で破産・民事再生といった法的整理に切り替える可能性もありますので、債務者の負債総額、財産状況などから、どのような内容で和解するか考えることになります。

債権回収の方法

  • STEP
    01

    弁護士による催促通知」

    債権や売掛金が回収できない場合、多くの会社では、弁護士相談する前に、自社で電話等による催促を行っているものと思われます。このような電話等での催促の場合、相手方にそのままにされ、効果がほとんどみられないことが多いです。

    (相手が悪いのに納得できませんよね・・。)

    しかし、弁護士が電話で交渉することで、取引先の反応が変わることがあります。

    つまり、弁護士が電話することで、取引先にこちらの本気度が伝わり、「支払わざるを得ないな」と思われる可能性が高くなります。

    また、当事者同士では、感情的な対立が存在することも少なくないため、直接交渉では言い合いで終わることが多く、交渉がスムーズに行かない場合もあります。

    弁護士の場合、感情的な対立をぬきに、ビジネスライクに交渉をすることで、交渉がスムーズにいくことがあります。

  • STEP
    02

    弁護士が、(弁護士名で)内容証明郵便で催促・督促する」

    弁護士に依頼しなくても、自ら、売掛金等を請求する内容の内容証明郵便を作成してこれを相手方に送付することもできます。

    (ちなみに内容証明には記載ルールがあります。)

     

    しかし、会社が会社名で内容証明郵便を送付した場合、相手方に対する強制力はさほど強くありません。感情的対立のある当事者同士ですから、電話での交渉の場合と同じく、交渉がスムーズに進まず、そのまま放置されることが多いからです。

    これに対して、弁護士弁護士名で内容証明郵便を送付した場合、取引先は「支払わなければ裁判を起こされるかもしれない」と考え支払いに応じる可能性が高くなります。

    実際、内容証明郵便には、「期限内に支払わなければ法的措置を講じる」と明記しますので、相手方は、「支払わざるを得ない」と思われる可能性が高くなるのです。

  • STEP
    03

    「民事調停手続きをする」

    調停は、裁判所を利用する手続ですが、弁護士を立てずに、自ら調停の申立を行うことも可能です。しかし、調停は訴訟ほどではないにしろ、手続上の決まりごとがあります。

    弁護士を立てずに申し立てをする場合、手続き上の決まりに苦労することが多いです。

    これに対して、弁護士に依頼して調停を申し立てた場合には、相手には裁判所へ出頭しなければならないという気持ちや、このまま調停が成立しなければ次は訴訟になるという気持ちが芽生えやすいと言えます。

  • STEP
    04

    「支払督促手続き

    支払督促手続とは、「支払督促」という書類を裁判所から相手方に送付して貰い、相手方の反論がなければ、「支払督促」に記載された債権を公的に認めて貰うことができるという制度です。

    しかし、相手方が異議を申し立てた場合には、「支払督促」は効力を失ってしまいます。

    また、「支払督促」は必ず相手方の住所地ないし事務所所在地の簡易裁判所書記官に申し立てる必要があり、相手方の住所が判明していない時には利用できません。

    なお、支払督促手続について弁護士が代理して行うケースはごく稀です。

  • STEP
    05

    「少額訴訟手続き

    少額訴訟手続とは、60万円以下の金銭の支払を請求する訴訟を提起する際に求めることができる特別な訴訟手続です。

    原則として審理を1回のみで終わらせて直ちに判決を行う手続です。

    しかし、少額訴訟も相手方が応じず、通常訴訟への移行を求めた場合には、通常訴訟へ移行されてしまいますので時間を浪費するおそれがあります。

    また、少額訴訟によってなされた判決に相手方が異議の申し立てた場合には、再び審理をやり直すことになり、大きく時間を浪費してしまいます。

    このようなことから、弁護士は、あえて少額訴訟手続を選択せず、最初から通常の訴訟手続を選択することが多いといえます。

  • STEP
    06

    「保全処分(仮差押と仮処分)」

    保全処分とは、債務者の財産処分を事前に保全しておく手続きです。証書判決を得ても、判決時にすでに債務者の財産が散逸していては勝訴判決が無に帰すことになるので、その前に債務者の財産の散逸を防ごうとする制度です。

    従って本来は、債権回収の手段ではありません。

    (訴訟提起前に行います。)

    しかし、保全処分を行うと、債務者に心理的圧力を与えて債務者の弁済を促す効果があります。保全処分には、仮差押と仮処分があります。

    (仮差押)

    仮差押は、金銭債権の執行を保全するものであり、典型的なものは、債務者の銀行預金への仮差押、債務者所有不動産への仮差押です。売掛債権への仮差押もあります。

    (仮処分)

    仮処分は、金銭債権以外の債権(例えば、物の引渡請求権)の執行を保全するものです。

  • STEP
    07

    「訴訟手続(通常訴訟手続)」

    訴訟手続は、債権・売掛金を回収する方法としては最もスタンダードな手法です。

    訴訟手続については、時間がかかるというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は第1回目の裁判期日終了後直ちに判決が出るケースも多いのです。

    また、相手方が裁判期日に出頭した場合でも、事実関係を争うことなく「一括では支払えないので、分割払いにして欲しい。」等と和解の申し入れをしてくるケースも多く、直ちに判決とはいかないにしても、裁判上の和解交渉がまとまらない時はいつでも和解交渉を打ち切って、早期に判決を貰うことができます。

    また、相手方の住所が判明しない場合でも、公示送達により、判決を貰うことが可能です。

  • STEP
    08

    「強制執行手続」

    確定判決、和解調書、調停調書などは「債務名義」と呼ばれ、相手方が任意の支払に応じない場合、裁判所に強制執行を求めることができます。

    強制執行には、大きく分けて(1)不動産執行(2)動産執行(3)債権執行の3種類があります。

    不動産執行の場合、対象不動産に抵当権などの担保がついているときは要注意です。抵当権等の担保権の実行が優先されるため回収が困難だからです。

    債権執行の中心は銀行預金の差押えといえます。

    銀行預金を差押えれば、回収すべき金額の範囲内である限り、差押時の預金残高をそのまま回収することができます。ただし、相手方が同銀行に対して借入金があるときは、先に、同銀行が預金と借入金を相殺してしまい、回収が不能となることもあります。

    また、相手方が企業であれば、仮にその口座にほとんど預金がなかったとしても、銀行は差押えがあると同企業との取引を停止しますので、同企業の営業に重大な支障が生じるため、任意に代金を支払わせることができる場合があります。

    また、相手方が債権を有している相手方の取引先等の第三債務者が判明している場合には、相手方の有する当該債権を差押えることもできます。

    このように、強制執行手続は債権回収における最後の手段として非常に有効です。

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